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リスクマネジメント

利用者 M、96歳、男性、介護度4、認知症高齢者自立度Ⅲa。意思疎通可能で軽度の右麻痺がある。排泄の間隔は一時間に一回程で車椅子自走しトイレにつくとコールを押しズボンの上げ下ろしを介助する。コールを押さないで一人でトイレに座っていることや車椅子のブレーキをかけないことがあり何度か転倒することもあった。

トイレで転倒。大きな音がしたためすぐに発見するが、左前頭部に腫脹、出血あり本人混乱していて意思疎通困難、救急車にて搬送される。転倒時、コールを押さず車椅子のブレーキはかかっていなかった。頭蓋内に出血みられるが命に別状はなくそのまま様子見となる。落ち着いてからも言葉がはっきり出ず意思疎通困難。大きな声を出し体動が激しく二日で退院となる。ADLは大きく低下し食事排泄等全介助。その後、頭蓋内の出血も変化なく状態落ち着いていて、食事は少しずつ自力で摂取することができるようになり排泄は全介助でトイレに座れるようになったが事故前よりも明らかに状態は低下している。

家族の反応は、迷惑をかけて申し訳なかった、もし状態に変化があっても延命も希望しないとの事だった。家族との関係も良好であり、事故後の対応もスムーズに行えたため訴訟になることはなかったが家族の対応次第では訴訟になり得る事例である。

訴訟になった場合、今までにも何度か転倒していて十分に転倒の危険を認識していたが、コールを押すこと、ブレーキをかけることの本人への説明しか対策をとっていなかった為、施設側の責任は大きいだろう。この利用者はトイレに行く前に職員に声をかけることが多く、車椅子を自走するスピードもゆっくりでトイレに着くまでに見つけることができズボンの上げ下ろしの時間もほんの少しの為、忙しい時間でも付き添うことは容易だった。トイレのコールを認識しやすいようにも対策をとれた。事故を防ぐためのリスクマネジメントとしては不十分だった。

しかし、具体的な対策をとっていたとしても事故がなくなることはなく、事故後のリスクマネジメントも考えなければいけない。この利用者のケアプランの中に、トイレで掴まり立ちする際ズボンの上げ下ろしの介助を行う、という項目があった。転倒の原因がコールを押さなかったことやブレーキをかけなかったことであっても、ケアプランの中で約束されているズボンの上げ下ろしを介助しなかったということで債務不履行となり訴訟で負ける可能性が高いのではないだろうか。実際にズボンの上げ下ろしをした場合でもその記録はどこにもないため、転倒しなくても債務不履行になってしまうのかもしれない。

 転倒に限らず、軽度の事故やヒヤリハットの時点で具体的な対策をとらなければいけないこと、家族関係を良好に保つこと、ケアプランを確実に実行し記録を残すこと、がリスクマネジメントとして必要なのだろう。
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